【オススメの小説】銀河英雄伝説の書評【アニメ・漫画を見た人にも】
皆さんは『銀河英雄伝説』をご存じでしょうか?
『銀河英雄伝説』は田中芳樹氏によるSF小説・スペースオペラで、アニメ化、漫画化、舞台化とさまざまなメディアミックスをしています。
もう20年近く前、中学生だった私は当時再放送されていたアニメを見てどっぷりとハマってしまいました。
親に頼み込んで小説を買ってもらい、何度も何度も読み返したのは良い思い出です。
『銀河英雄伝説』は、私の青春です。
この記事では『銀河英雄伝説』について、
- 名前だけは聞いたことある
- 興味はあるけど、読んだことはない
という人向けに、私が考える魅力や感想などを書いていきます。
『銀河英雄伝説』は個性豊かなキャラクターや迫力の戦闘シーン、興味深い政治描写とたくさんの魅力がある作品です。
この記事を最後まで読めばあなたもきっと小説を読みたくなるはず。
また、アニメ・漫画を先に見たという人にも、原作である小説は完結しており最後まで物語を楽めるため読んでみることをオススメします。
『銀河英雄伝説』とは
『銀河英雄伝説』は田中芳樹氏によって1982年から1989年にかけて本編10巻+外伝4巻で刊行された小説です。
今から40年以上前!?そんなに昔の作品を今更読んで面白いの?
いえいえ、現在でも色褪せない魅力がたくさんある作品です。
あらすじ
宇宙歴八世紀末、銀河帝国と自由惑星同盟とにわかれ、ながい抗争をくりひろげてきた人類の歴史は、二人の天才の出現によって、大きな転機を迎えようとしていた。覇権をめざす若き獅子、帝国軍上級大将ラインハルト。そして同盟軍においては一介の青年士官に過ぎなかったヤン――帝国軍遠征隊を同盟側が迎え撃った「アスターテ会戦」こそが、彼らの初めての邂逅であり、宿命の戦いの幕開けであった。
銀河英雄伝説VOL.1[黎明編・上],あらすじ
物語の舞台は、今から遠い未来。
宇宙では”専制政治”を敷く銀河帝国と”民主主義”を掲げる自由惑星同盟が、戦争を繰り返していました。
しかし長い戦争の中で、銀河帝国では貴族の腐敗、自由惑星同盟では衆愚政治という病気が次第に国を蝕んでゆきます。
そんな状況は2人の天才、「常勝の天才」ラインハルトと「不敗の魔術師」ヤンの登場によって大きく変化することになるのです。
『銀河英雄伝説』の魅力・感想
私が考える『銀河英雄伝説』の魅力は下記の3つです。
①スペースオペラの楽しみの1つ、戦闘シーン
②数多くの個性豊かなキャラクターたち
③政治について考えさせられる、2つの国のイデオロギーの対立
1つずつ見ていきましょう。
①スペースオペラの魅力の1つ、戦闘シーン
スペースオペラの魅力の1つ戦闘シーン。
『銀河英雄伝説』の戦闘はとにかくスケールが大きいのが特徴です。
宇宙での戦争なので宇宙戦艦同士が戦うのですが、その数が半端ではありません。
なんと1個艦隊1万隻以上の規模なのです。
そんな艦隊が2個、3個と集まって会戦が行われるので、その規模はとてつもなく巨大で迫力があります。
作中では多くの会戦が発生しますが、その中で私が一番好きなのはバーミリオン星域会戦。
主人公であるラインハルトとヤンが、唯一ほぼ互角の兵力で対決した会戦です。
”常勝”と”不敗”、天才同士の駆け引きによる逆転に次ぐ逆転劇で、ページをめくる手が止まりませんでした。
②数多くの個性豊かなキャラクターたち
個性豊かなキャラクターが数多く登場することも魅力の一つです。
銀河帝国と自由惑星同盟にそれぞれ主人公がいるため、主人公を取り巻く準主役・脇役のキャラクターもかなりの数が存在します。
キャラクター数が多いエピソードとして有名なのが、「銀河”声優”伝説」という異名。
これは、アニメ(OVA版)がなるべく一人一役で配役を行った結果600人以上もの声優さんが起用されたところからきているのだそう。
これだけのキャラクターがいるので、本書を読めばあなたのお気に入りのキャラにもきっと出会えるはずです。
ちなみに私が一番好きなキャラは、銀河帝国から自由惑星同盟への亡命後に主人公ヤンを支え続けたメルカッツ提督です。
生き様がかっこいい!
③”専制政治”と”民主主義”、2つの国のイデオロギーの対立
『銀河英雄伝説』の魅力は主人公ラインハルトとヤンの対決だけではありません。
彼らが属する銀河帝国と自由惑星同盟、”専制政治”と”民主主義”の対立にも興味を惹かれます。
その一例として、物語が進行に伴う銀河帝国と自由惑星同盟の変化を上げてみます。
- 銀河帝国:ラインハルトが腐敗した貴族を打倒し、圧政に苦しんでいた民衆の解放と帝国の改革を実施。
- 自由惑星同盟:衆愚政治により腐敗した政治家が国家元首となっており、国の危機に対しても大きな改革は起こらず。
銀河帝国の改革と自由惑星同盟の停滞や腐敗を見ると、「なぜ専制政治は悪だといわれているのか?」という疑問が出てくるのではないでしょうか。
民主主義の政治家が責任を果たさない・果たせないのなら、決断力や行動力のある一人の天才に全てを任せてしまった方が上手くいきそうな気もします。
ラインハルトはヤンとの会談でそのことを問いました。
「ときに暴君が出現するからといって、強力な指導性をもつ政治の功を否定することはできまい」
銀河英雄伝説VOL.10[風雲編・下],P199~P200
しかしヤンはきっぱりと否定し反論を語ります。
「私は否定できます」
(中略)
「人民を害する権利は、人民自身にしかないからです。言いかえますと、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム、またそれよりはるかに小物ながら、ヨブ・トリューニヒトなどを政権につけたのは、確かに人民自身の責任です。他人を責めようがありません。まさに肝腎なのはその点であって、専制政治の罪とは、人民が政治の害悪を他人のせいにできる、という点に尽きるのです。その罪の大きさに比べれば、100人の名君の善政の功も小さなものです。まして閣下、あなたのように聡明な君主の出現がまれなものであることを思えば、功罪は明らかなように思えるのですが……」
銀河英雄伝説VOL.10[風雲編・下],P200
ちなみに、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは民主主義を廃止した銀河帝国初代皇帝、ヨブ・トリューニヒトは自由惑星同盟の現国家元首です。
要するに、自分たちが考え解決するべき問題を他人任せにしてしまう点が専制政治の悪い部分なのです。
逆に言えば民主主義では、自国の政治に対して自分で考え行動し自分が責任を負うことが必要なのです。
これは一見当たり前のように見えますが、実行するのは簡単なことではありません。
考えることや行動すること、責任を負うことは「しんどい」からです。
人間、しんどいことからは逃げたくなります。
だからといって無知や無関心でいると、悪い人に利用され不利益を被る可能性があります。
そうならないためにも思考を放棄せず、しんどくても考え行動することが大事なんだとこのシーンから教わりました。
まとめ:気になった人は公式YouTubeのオーディオブックを聞いてみて
『銀河英雄伝説』に対して私が思う魅力や感想をまとめてみました。
『銀河英雄伝説』は戦闘シーンや個性豊かなキャラクター、政治描写が魅力的であり、初刊行から40年以上が経過した今読んでも面白い名作です。
また作品のボリュームが多いため、新アニメや漫画版はまだまだ完結には時間がかかりそうですが、小説はすでに完結しているため物語を最後まで読むことが出来るという利点があります。
「小説を読むのには抵抗がある」、「読んでいる時間が無い」という方にはオーディオブックもありますよ。
※8月1日追記:YouTubeの「田中芳樹・らいとすたっふ・銀河英雄伝説公式ポータルチャンネル」様にて第1巻黎明編のオーディオブックが公開されていましたのでリンクを置いておきます。
気になった方はぜひ聞いてみてください。(長いので、「時間がない!」という方は第1章だけでもどうぞ)
【前編】12/24開催『銀河英雄伝説 -1- 黎明篇』オーディオブックオールナイト無料生放送!
第1章(動画内39:52~)
第3章(動画内3:12:50~)
第5章(動画内5:28:55~)
この記事を読んで興味を持った方は、是非読んでいただき感想を教えていただけると嬉しいです。