【簡単でプロに負けない投資法】『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』【お金の勉強】
こんにちは、アルゼー(@aluzee22)です。
- 投資を始めたい投資初心者の方
- 投資に時間や手間をかけたくない方
- おすすめの投資信託を知りたい方
といった方に向けて『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術(以下ほったらかし投資術)』を紹介します。
投資をしてみたいけど、あまり手間はかけたくない……
それなら、本書の勧める「ほったらかし投資」がオススメですよ!
本書の著者は、経済評論家である山崎元氏とインデックスブロガーとして投資ブロガーの先駆け的な存在でもある水瀬ケンイチ氏のお二人です。
経済・投資の専門家のお二人が「ほったらかし投資術」の”公式本”を目指して、結論を一本化させて出来上がったのが、本書『ほったらかし投資術』になります。
本書の提唱する「ほったらかし投資術」の定義は、
「プロが考える最善の運用方法に大きく劣らず、なるべく簡単に実行できる、個人にとっての資産運用の具体的方法」
全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 P4~5
です。
投資初心者でも、「ほったらかし投資術」を身につけることで、「簡単な方法」で「投資のプロに負けない成果を出す」ことができるようになります。
この記事では、本書の勧める「ほったらかし投資術」の実行ポイント5つと自分のオススメポイント3つについて解説していきます。
わかりやすくまとめていきますので、是非最後まで読んでいってください。
書籍紹介
まずは、書籍・著者の情報を紹介します。
書籍情報
タイトル:全面改訂 第3版 ほったらかし投資術
著者:山崎元、水瀬ケンイチ
発行:朝日新聞出版
定価:869円(税込)
発売日:2022年3月11日
ページ数:224p
著者情報
山崎 元 やまざき・はじめ
1958年、北海道生まれ。経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に就職。金融関連で12回の転職を経て現職。『全面改訂 超簡単 お金の運用術』(朝日新書)など著書多数。
水瀬ケンイチ みなせ・けんいち
1973年、東京都生まれ。都内IT企業勤務。インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。主な著書に『お金は寝かせて増やしなさい』(フォレスト出版)など。
全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 P223
ほったらかし投資の実行ポイント5つ
ここからは、「ほったらかし投資術」を実際に実行するためのポイントを1つずつ解説していきます。
①生活資金の確保
②運用資産を「リスク資産」と「無リスク資産」に分ける
③「無リスク資産」の投資先
④「リスク資産」の投資先
⑤「有利なお金の置き場」を活用する
①生活資金の確保
まずは、生活資金の確保です。
ほったらかし投資は長期間、資産を取り崩さないことが前提であるため、不意の出費(病気、災害、リストラなど)に対応できる現金(=生活資金)を持っておく必要があります。
生活資金は、本書では3~6カ月分としています。
具体的には、生活費が月15万円なら45~90万円、月20万なら60~120万円といった感じです。
生活資金がこれだけだと、少なくて不安……
それなら、「毎月少額での積立投資」から始めて少しずつ慣れていく方法がありますよ!
「投資は十分な資金が貯まってから始めたい」という考え方もありますが、「十分なお金を作る手段として投資を使う」と考えた方が合理的です。
本書の勧める投資信託であれば、100円から1円単位で購入できます。
なので、生活資金が不安な人は自分が大丈夫だと思える少額から投資を始めて、少しずつ経験を積んでいくのがオススメです。
生活資金が準備できたら、次は投資の「運用資金」についてです。
②運用資産を「リスク資産」と「無リスク資産」に分ける
次に、運用資金を「リスク資産」と「無リスク資産」に分けていきます。
リスク資産:リスクを取って運用するお金
無リスク資産:リスクを取らず、無難に運用するお金
先に「リスク資産」から決めていきましょう。
「リスク資産」の金額が決まれば、あとはほぼ自動的に金融資産運用の内容が決まるためです。
具体的な「リスク資産」の金額の決定方法は本書を読んでください。
ここでのポイントは、
(前略)著者たちが是非お伝えしたいのは、人は案外大きなリスクを取って運用しても大丈夫だということです。
全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 P54
という点です。
これは、若者でも高齢者でも同じだと本書では述べられています。
具体的には、若者はもし失敗してもやり直せるだけの「時間」と働いて稼げる「人的資本」があります。
高齢者には、今まで稼いできた「資産」と今後の生活に「必要なお金が見通しやすい」というメリットがあります。
なので、不安の少ない少額から始めて、慣れてきたら「もっとリスクをとっても大丈夫でないか?」と考えてみてはどうでしょうか。
「リスク資産」の金額が決まったら、運用資金の残りは全て「無リスク資産」で運用します。
③「無リスク資産」の投資先
「無リスク資産」はリスクを取らずに運用するお金です。
「無リスク資産」は個人向け国債(変動金利型10年満期)に投資します。
国債の大まかな概要とメリットは次の通りです。
1.国債の概要
- 国の借金:国が発行する債券=国の借金です。
- 利息が付く:半年に1回利息が付きます。
- 元本割れなし:満期が来たら元本が全額戻ってきます。(リスクはあるため絶対安全とはいえません)
- 途中換金可能:購入後1年以降はいつでも途中解約可能です。(ペナルティとして、直前2回分の利息が差し引かれます)
2.国債のメリット
- 信頼性が高い:国と銀行では、国の方が潰れにくく安全といえます。
- 金利上昇に強い:金利が上がれば国債(変動金利型)の受け取る利息も上がります。
なお、ネット専業銀行では国債より高利率の預金を提供している銀行もあるため、「無リスク資産」をこうした銀行預金にすることも合理的だと述べられています。(ただし、銀行が経営破綻した際のリスクには注意が必要です。)
興味のある人は、どこの銀行か探してみてくださいね。
④「リスク資産」の投資先
「リスク資産」は全額「全世界株式インデックス・ファンド」に投資します。
どうして、「インデックス・ファンド」なの?
投資信託はインデックス(パッシブ)・ファンドとアクティブ・ファンドという2種類に分けられます。
なぜアクティブ・ファンドではダメなのかと言われるとその理由は2つあります。
1つ目の理由は、アクティブ・ファンドは頻繁に売買を行うため、その分コストが増加するためです。
2つ目の理由は、手数料の違いです。プロが売買を行って運用するアクティブ・ファンドは、どうしても手数料が高くなってしまうためリターンを減らしてしまうのです。
なぜ、「全世界株式」なの?有名な「S&P500」ではダメなの?
投資する投資信託が1つだけの場合、米国のみよりも分散して他の国も買った方がリスクを抑えられるます。
なので、「S&P500」よりも「全世界株式」が勧められています。
投資銘柄に関しても「ファイナルアンサー」として次のファンドがおすすめされています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
運用:三菱UFJ国際投信
信託報酬(年利):0.1133%(本記事執筆時)
現在、来年の新NISAに向けて、インデックス・ファンドの手数料(信託報酬)の値下げ競争が起こっているようです。
本書で紹介されている「eMAXIS Slim全世界株式」も、2023年9月より信託報酬が引き下げられると発表されています。(0.1133%→0.05775%)
いち投資家としては、手数料が安くなることは素直にうれしいですね。
⑤「有利なお金の置き場」を活用する
①~④で、投資に回す金額と何に投資をするべきかがわかりました。
あとは証券口座を作って、全世界株を買えばいいんだね。
ちょっと待ってください!投資には「有利なお金の置き場」があるのでそれを利用するべきです。
投資には通常、利益(配当金や売却時の値上がり益)に対して税金(約20%)がかかります。
20%も税金で取られるのは悲しい…。何とかならないの!?
この税金を回避できる方法は主に2つあります。
それが「有利なお金の置き場」なのです。
1.NISA(ニーサ):一般NISA、つみたてNISA
2.iDeCo(イデコ)
細かく解説すると長くなるので、ざっくりとまとめます。
1.NISA(ニーサ)
NISAは、少額投資非課税制度の愛称です。
2024年からは、「新しいNISA(新NISA)」が導入されます。(金融庁:新しいNISA)
- 非課税保有期間:無期限
- 年間投資枠:つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円
- 非課税保有限度額:全体で1800万円(成長投資枠は1200万円まで)
本書もNISA制度の変更に対応するため、こちらで「新NISAの賢い使い方」が公開されています。
誰でも無料で見ることができるので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
2.iDeCo(イデコ)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、その名前のとおり自分で掛け金を積み立てて運用する年金のことです。
iDeCoには、運用中は分配金などの運用益が非課税になる他にも、掛け金が所得控除の対象となり所得税と住民税が安くなるというメリットがあります。
一方で、原則として60歳になるまでは資金を引き出すことが出来ないというデメリットもあるので注意が必要です。
自分のオススメポイント3つ
本書を初心者にオススメするポイントを3つに分けて紹介します。
①この1冊だけでも大丈夫な網羅性
本書のタイトルである「ほったらかし投資」の定義は次の通りです。
「プロが考える最善の運用に大きく劣らず、なるべく簡単に実行できる、個人にとっての資産運用の具体的方法」
全面改訂 第3版 ほったらかし投資術P4~5
この定義に沿うように、本書では以下のような基礎知識・具体的手順が説明されています。
- インデックス運用の基礎知識から説明してくれている
- 初心者がつまづきやすいポイントの解説をしてくれている(実勢の勘所)
- 証券口座の口座開設方法と手順も載っている
- Q&Aもある(ほったらかし投資でFIRE出来る?、証券会社が潰れたらどうなる?など)
なるべく簡単に出来る具体的方法が網羅されているため、資産運用の初心者でもこの一冊があれば大丈夫だと言えるのです。
②「投資はこれ1本!」という答えの明快さ
2つ目のポイントは、投資は1本だけでいいという答えの明快さです。
投資の正解は、個人の状況(年齢、性格、資産額など)によって変わるため「これ1本」という答えは出しにくいものです。
しかし本書の勧めるインデックス投資は「再現性」が高いのが特徴です。
若者でも老人でも、お金持ちでもあまり持っていない人でも、同じ投資商品に同じ時期に投資すれば、「誰でも同じ収益率」が再現できます。(もちろん投資額が多ければそれだけリターンの金額も大きくはなりますが、それは仕方ありません。)
なので、「リスク資産」は全世界株インデックス・ファンドに投資することが、多くの人にとっての最適解になるのです。
③「買ったら持っておくだけ」のお手軽さ
3つ目のポイントは、投資商品を買ったら後は持っておくだけでいいというお手軽さです。
その理由は主に2つあります。
1つ目の理由は、投資家にとっての最適解は「マーケットに居続ける」ことだからです。
「マーケットに居続ける」理由は、利益をもたらす株価の上昇は、予測できな日に急激に大幅に起こることが多いためです。
2つ目の理由は、全世界株は「メンテナンスフリー」のポートフォリオだからです。
「メンテナンスフリー」の理由は、全世界株は時価総額の変化に応じて株式の比率が自動的に調整されるためです。
大まかにいうと、好調な株式は多く、不調な株式は少なくなるよう調整してくれるということです
「マーケットに居続けることが正解」「メンテナンスフリー」であるため、本書の勧める全世界株インデックス・ファンドは、一度買ったらお金が必要になるまで持っておくだけでいいのです。
まとめ
今回は『ほったらかし投資術』の要点と投資初心者にオススメできるポイントを紹介しました。
内容をもう一度確認してみましょう。
ほったらかし投資の実行ポイント5つ
①生活資金の確保
②運用資産を「リスク資産」と「無リスク資産」に分ける
③「無リスク資産」の投資先
④「リスク資産」の投資先
⑤「有利なお金の置き場」を活用する
オススメポイント3つ
①この1冊だけでも大丈夫な網羅性
②「投資はこれ1本!」という答えの明快さ
③「買ったら持っておくだけ」のお手軽さ
本書には、「つまづきやすいポイントの解説(実践の勘所)」や「Q&A」、「コロナ・ショックのような危機にどうする?」などこの記事で解説しきれていない内容がたくさんあります。
投資初心者の方や投資にあまり手間をかけたくないと思っている方にとって、本書の提案する「ほったらかし投資術」は簡単で手間のかからない最適の方法です。
興味があれば、是非本書を読んでみてください。
それでは!