【マーケティングの入門書】ドリルを売るには穴を売れの書評【初心者向け】
突然ですが、皆さんは「ベネフィット」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
私は全く知らなかったのですが、ブログを始めるにあたっていろいろと調べていくと、
「ブログはベネフィットが大事!」
「あなたのブログはベネフィットを意識できていますか?」
などと言われており、どうやらブログにとって重要な言葉であるらしいことが分かりました。
また、ベネフィットとは「マーケティング」の基礎知識であるらしいのです。
この時点で私の頭の中は、
「ベネフィット?マーケティング??日本語でおk」
と大混乱しました。
そして、
「そんなに大事なら、ベネフィットやマーケティングをわかりやすく解説してくれいている本はないの!?」
と思っていた時に出会ったのが『ドリルを売るには穴を売れ』です。
この記事では、マーケティングのマの字も知らない素人が『ドリルを売るには穴を売れ』を読んで学んだこと・感じた感想などを書いていきます。
『ドリルを売るには穴を売れ』とは
『ドリルを売るには穴を売れ』とは、経営コンサルティング会社社長である佐藤義典さんによって2007年1月10日に出版されたマーケティングの入門書といえる本です。
著者情報
- 佐藤義典(さとうよしのり)
- 早稲田大学政治経済学部卒業
- NTTで営業やマーケティングを経験後、米ペンシルバニア大ウォートン校にてMBA取得
- その後、外資系メーカーにてガムのブランド責任者としてマーケティング、営業、開発、製造などを統括
- 外資系マーケティングエージェンシーでは、営業チームのヘッドなどを歴任
- 現在は「戦略と戦術を結ぶ」ことを理念とする経営コンサルティング会社、ストラテジー&タクティクス株式会社の代表取締役社長として活躍中
- 無料マーケティングメルマガ、「売れたま!」の発行者としても知られる
『ドリルを売るには穴を売れ』がマーケティングの入門書といわれるのはなぜ?
『ドリルを売るには穴を売れ』が執筆されたきっかけは、「マーケティングの基礎をわかりやすく説明した1冊」がほとんどなかったからなのだそうです。
そんなマーケティングの基礎を解説するため、『ドリルを売るには穴を売れ』では大きく分けて次の2つを説明しています。
- 身の回りにあるマーケティング
- マーケティングを体系的に整理するたった4つの理論
この2つ(+4つの理論)を理解することで、「売ること」に関する知識を体系的に学ぶことができる点が、本書がマーケティングの入門書といわれる理由です。
『ドリルを売るには穴を売れ』で学んだこと・感じたこと
ベネフィット=顧客にとっての価値
まずは初めの疑問であった、「ベネフィットとはなんなのか?」です。
ベネフィット(benefit)とは、直訳で「利点」などの意味があります。
一方、『ドリルを売るには穴を売れ』では下記のような説明となっていました。
ベネフィットとは、「顧客にとっての価値」だ。
『ドリルを売るには穴を売れ』,P44
例えば、工具のドリルで考えると、顧客は「ドリルが欲しい」から買うのではなく、「穴を開ける道具が欲しい」からドリルを買っているということになります。(ドリル収集家を除く)
つまり、顧客は「商品」そのものではなく、「商品が提供する価値」を求めているということなのです。
マーケティングは案外身近で起こっている
次に、「マーケティング」は気が付いていないだけで普段から私たちの身近で起こっていることなんだ、という気付きがありました。
「マーケティング」の一部である「広告」は道路の看板・テレビのCM・電車の中吊りといった形で身近に存在し、企業からの「メッセージ」を私たちに伝えています。
テレビCMで例えると、
炭酸飲料なら
シュワっと爽快!
アイスクリームなら
口溶け滑らか。
などとその商品の魅力や利点を端的に伝え、私たちが思わず買いたくなるような工夫をしているのです。
そういった「広告」の影響を受けて私やあなたが買い物を行うと、その企業のマーケティングは成功したといえるでしょう。
もし、これを見てあなたが「マーケティング」に少しでも興味を持ったのなら、ふだん見かける広告や商品などに気を付けてみるとよいかもしれません。
例えば、テレビCMを見た際に「なぜこの商品ではこんな演出をしているのだろう?」「なぜこの時間帯にこの商品のCMが多いのだろう?」と考えてみましょう。
そうすることで、その商品を売るための企業のマーケティング手法を覗き見ることができ面白い発見があるかもしれないです。
私もこの本を読んでから、実際にハーゲンダッツとガリガリ君のCMを見比べてみました。
- 高級アイスのハーゲンダッツは、大人向けに俳優さんなどが落ち着いた雰囲気でアイスを食べる
- リーズナブルなガリガリ君は、若年層向けにアニメの男の子(ガリガリ君)がはしゃぎながらアイスを食べる
といった感じで、普段意識することのなかった違いを発見することができ楽しかったです。
各章後半のサブストーリーがおもしろい
最後に、サブストーリーの面白さにも触れていこうと思います。
各章の後半部には、その章で学んだことの具体例を織り交ぜながら進行していくサブストーリーが展開されていきます。
あらすじは、
新人社員の売多真子が廃業寸前のレストランを立て直すために、イトコで経営コンサルタントの売多勝らの力を借りつつ改善企画の作成に奮闘していく、新人社員の成長物語
です。
主人公の真子は新規企画室という部署に勤めてはいますが、新人のため最初はマーケティングの知識は無くほとんどゼロからのスタートでした。
このマーケティングの知識ゼロという設定のおかげで、マーケティング素人の自分でも感情移入がしやすかったように思います。
他にも、印象的だった場面が2つあったので紹介します。
1つ目は、勝からイタリアンレストランに「お客さんが来る理由」を聞かれ、食べる以外にどんな理由があるのかを考えた真子が、
「……わかった!お客さんは料理を食べに来るんじゃなくて、不倫に来るんだ!」
『ドリルを売るには穴を売れ』,P63
と答えた場面です。
レストランでのミーティング中に思わず「不倫」という不穏なワードを叫んだところには思わずクスっと笑ってしまいました。
2つ目は、レストラン改善企画に真剣になりきれていなかった真子に対して、勝が尋ねた「勝つ人」とはどんな人かの答え、
「違う。一番勝ちたいヤツだ。最後に勝つのは、勝ちたい、っていう執念、想いを持っているヤツだ」
『ドリルを売るには穴を売れ』,P138
というセリフには、物事への取り組む姿勢についてハッとさせられる部分がありました。
このようにストーリー単体の読み物として見ても笑いあり、熱い想いありでかなり面白く楽しめると思います。
まとめ
『ドリルを売るには穴を売れ』の概要とそこから学んだこと・感じたことをまとめてみました。
『ドリルを売るには穴を売れ』はマーケティングの入門書として、「マーケティングとは何か?」「ベネフィットとは何か?」をわかりやすく学ぶことのでき、その結果普段している買い物の意味を新しく発見することも出来る良い本です。
また、本書には今回紹介したベネフィットの他にもマーケティングを理解するために重要な3つの理論、
- セグメンテーションとターゲット
- 差別化
- 4P
が説明されており、これら4つの理論を理解することでマーケティングについての体系的な知識の整理を行うことが出来るでしょう。
もし、この記事を見てマーケティングに興味を持った方がいれば、是非『ドリルを売るには穴を売れ』を手に取ってもらい「マーケティングとは何なのか」と「売多真子は無事に改善企画を提出しレストランを救うことができるのか」を見届けてもらえればと思います。